昭和48年に東京大学を卒業後永年にわたって、脳神経外科学の教育、研究に努め、またその成果を多数の論文(英文:298編、和文:261編)、書籍・著書(英文:58編、和文:125編)として国内外に情報発信し、日本のみならず世界の脳神経外科学の進歩に貢献した。その業績は脳神経外科学全般に及ぶが、特に脳血管障害と脳腫瘍の領域で顕著な功績を果たした。そうした成果が認められ、国内のみならず世界中から特別・教講演の依頼(海外特別講演:50回、国内特別講演:246回)が殺到し、それらの講演を通じて世界の脳神経外科学の発展に寄与してきた。
臨床面では難易度が極めて高い脳深部ならびに頭蓋底部の疾患(脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管奇形など)に対する安全・確実な手術法や新たな治療法の開発などに精力的に取り組んできた。卓越した手術技術と治療成績は世界のトップレベルとして認められ、国内のみならず米国、カナダ、ドイツ、中国、南アフリカ共和国、など世界各国から患者が来日している。2002年に、世界脳神経外科学会の頭蓋底の外科部門委員に選ばれ、2005年には、顕著な業績を残すと共に世界のリーダーとしての資質を有するsenior memberのみから構成される米国のThe Society of Neurological Surgeonsの名誉会員に選ばれ、日本の脳神経外科医のレベルの高さを世界に示した。
2009年には、同人のこうした学術的貢献が認められ、一般社団法人日本脳神経外科学会学術賞である斉藤眞賞が贈呈された。2012年度の日本脳神経外科学会学術総会では、顕微鏡下手術の普及に貢献したYasargil教授、脳微小解剖学知識に基づいた顕微鏡下手術を発展させたRhoton教授に続いて、腫瘍組織の病理組織学に基づいた顕微鏡下手術という新たな概念を提唱し手術成績の向上に寄与したとして会長基調講演で世界の巨匠に並んで紹介されるという栄誉に輝いた。また、2013年にはAmerican Academy of Neurological Surgeryの会員に選出された。
研究分野では、主に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血後に発生し患者の生命・機能予後に多大な影響を及ぼす脳血管攣縮の発生機序の解明・治療薬の開発に精力的に取り組み多大な成果を残し、一般社団法人日本脳神経外科学会がその年度に発表された優秀論文を表彰する「ガレヌス賞」を1981年と1985年の2回受賞した。脳血管攣縮に関する基礎研究分野の世界的リーダーの一人として認められ、1989年にはカナダのUniversity of Albertaの薬理学博士に関する海外特別審査員として招聘された。また、「脳血管攣縮に関する国際カンファレンス」では、第3回〜第6回(1987, 1990, 1993,1997年)まで国際組織委員として重責を果たした。
1990年には佐野圭司教授、高倉公朋教授、NealF.Kassell教授と共著で書籍「CerebralVasospasm」を発刊した。
2011年に米国シンシナティで開催された第11回脳血管攣縮に関する国際カンファレンスでは、特別教育講演を依頼され世界の研究者の教育に寄与した。国内の学会であるスパズムシポジウムでは2003年に第19回の会長を務め、さらに2005年から2013年まで代表世話人を務めて指導的役割を担ってきた。同人のこうした業績が高く評価され、1993年には米国シカゴ大学から「Award for Scholarly Distinction in Vasospasm」として表彰された。
また、日本学術会議連携会員、独立行政法人日本学術振興会科学研究費委員会専門委員、公益財団法人日本脳神経財団理事、評議員を務め、我が国の学術の発展に貢献した。更に、一般社団法人日本脳神経外科学会の法務委員会委員長、福岡地方裁判所専門委員として、裁判所から依頼される鑑定人推薦に対して適切な鑑定人を推薦する業務をこなし社会貢献を果たしてきた。